うつ病について:武田道子の「京おんなミニ・トークシリーズ」:ラジオ:メディア登場:武田病院グループ
※下記の文章については、ラジオ放送時の内容を一部リライトして掲載しております。ご了承ください。
うつ病について
快適な気候になり、仕事に勉強に絶好のシーズン到来かなという感じがしますね。
それが違う場合もあります。仕事や学校にも慣れ、一息つく頃に気が重くなって、気が滅入るという人が増えてくるシーズンでもありますね。以前は「五月病」と言いましたが、今はあまり使わないですね。
五月病は精神的なものなんですよね。
そうです。四月に入ったばかりの新入生さんや新社会人などにみられる、五月頃になるとしばしば現れる、精神的な神経の疲れでしょうね。
昔は五月病って曖昧な言葉でしたが、今は全て「うつ病」じゃないかと診断されますよね。確かタレントさんや俳優さんでもすごく多いようですが。
文学者では太宰治や宮沢賢治、また夏目漱石などいろいろあげらています。作曲家ではチャイコフスキーなどもそうでした。タレントでは自ら告白した高島忠夫さんがいますね。
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克服されましたけど、確か顔の表情がなくなって、ご家族が大変だったと聞きました。やはり、気が落ち込むということですか。
そうです。でも、人は誰でも落ち込む時がありますよね。しかし、多くの方はしばらくしたら自然と治ります。この気分が長く続き、生活に支障が出てくるとうつ病と診断されます。
どのような人がかかりやすいのですか。
かかりやすいタイプの人とは、生真面目で几帳面すぎる人。物事にこだわる人やいつも他人に気を使う人などがかかりやすい人と言われています。
原因はあるのですか。
やはり心理的な面が多いですが、身体的にもあります。心理的な面で言えば、仕事量が非常に増えてきたとか、家庭内のトラブルや環境の変化、子どもたちが一人立ちしてしまって寂しくなった、肉親の死亡などがあげられてます。身体面には女性特有の妊娠、出産、閉経などです。そしてまた、リウマチや脳梗塞の後遺症、高齢者になって出る認知症でも起こります。また、薬の副作用でもうつ病になるものがあり、高血圧の治療剤や経口避妊剤、ステロイドなどがあげられます。
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周りの家族が理解してくれたらいいのですが、してもらえなかったら怠け者みたいに言われたりしますよね。でも、自分自身もうつ病かわからない場合、どうしようもないと思いますが、自分で調べる方法はありますか。
身体的にいろんな症状が出てくるので、チェックする方法はあります。夜に寝付けない、夜中に何度も目が覚めてしまう、朝とても早く目覚めるなど。そして、頭が痛い、疲れやすい、肩こりや胃の調子が悪い、動悸がする、便秘、下痢などいっぱいあります。性欲が低下する、食欲がなくなるなどありますけど、これらは一般の人にもよくある症状ですよね。
さっき閉経や妊娠など、女性特有のケースをおっしゃってましたが。
出産後や更年期になるとかかりやすいです。
出産後は何かと精神的にまいってしまう母親が、特に核家族の場合多いようですね。
最近多いようです。出産後は、心も体も急に負担が大きくなりますからね。気分が塞ぐや涙もろくなるなど。体の調子が悪い時が多いのですが、このような状態の時を「マタニティ・ブルー」という言葉が使われています。この状態が長く続いたり、眠れなかったりするとうつ病と判断していいと思います。
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特に赤ちゃんはお母さんの心の状態がすぐわかりますから、事情がわかって預かってもらえる人が近所にいたりすると、随分変わってくると思います。更年期の方はいかがですか。
これは多いと思います。一般的には閉経を迎える頃に、これは女性ホルモンのバランスが乱れて起こるもので、多くの方は専業主婦の方が多いです。また、この時期に夫の仕事面でのいろんな気苦労や定年を迎えるもありますし。同時に、子どもたちも独立してしまい、自分一人になってしまう。そして、高齢化社会なので親の面倒を見なくてはならない、ということが重なってこれが心理的なストレスになってきます。身体的には、更年期の症状として顔が火照ってくる、急に汗が出てきてその直後には寒くなるなど。さまざまな箇所が痛くなり、肩こり、頭痛、腰痛。めまいや手足の冷え、やる気が起こらなくなる、イライラする。
これらを訴えている人は多いですね。どのような治療が効果的なのか教えて頂けますか。
やはり、薬がよく効きます。内服薬をきちんと飲むことですね。抗うつ剤、あと睡眠薬でも治ることもあります。それから心と体をゆっくり休ませることですね。忙しすぎてもダメですね。そして自分が重大な決定権を持たない。責任のあることは止めた方がいいですね。そして再発させないように、物事に柔軟に対応して疲労を溜めないことです。
気持ちいい季節なんですが、うつ病が発症しやすい時期でもあるということでしたね。先生、最後に一言お願い致します。
うつ病かなと思ったらすぐ、ためらわずに専門医に相談して下さい。この病気は治ります。
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